この記事では、新社会人向けに「生命保険と医療保険は不要」ということについて説明します。
社会人になると、

社会人になったら保険くらい入らないと

保険に入っておかないと、いざという時不安じゃない?
と言う声が耳に入ると思います。
しかし、これらの声は「漠然とした不安」から来るものであり、なぜ必要かを具体的に説明できる人は意外といません。
周りが皆入っているから「社会人になったら保険に入るもの」と思っており、深く考えずに保険に入る人も多いです。
この記事を読めば、「漠然とした不安」や「社会人になったら保険に入るもの」という思い込みを減らすことができ、無駄な保険に入らないで済むようになります。
新社会人が勧められる主な保険

新社会人が周りの先輩や保険営業マンから勧められる保険はざっくり以下の2つです。
- 死亡によって保険金が受け取れる
- 遺された人が生活に困窮しないようにするための保険
- 病気や怪我による治療や入院の際、給付が受けられる
- 治療、入院時に自分がお金に困らないようにするための保険
どちらも「遺された人」もしくは「自分」がお金に困らないようにするために入るものです。
「保険に入っておけば、もしもの時安心」と言うのは、
「保険に入っていれば、もしもの時お金に困らないで済むから安心」
と付け加えることができます。
つまり、安心なのはお金の面だけの話です。
当たり前ですが、保険に入っているからと言ってガンで死ぬ確率が下がったり、病気が早く治るわけではありません。
保険営業マンは「保険に入れば安心」と言ってきますが、十分なお金があれば保険はそもそも不要であることをまず理解することが大切です。
・「遺された人」、「自分」がお金に困らないのであれば、生命保険、医療保険は不要
生命保険が不要な理由
生命保険は「遺された人が生活に困窮しないため」に入ると説明しました。
もしあなたが独身であり、経済的に支えている家族がいないのであれば、生命保険は不要です。
保険営業マンは「若いうちは保険料が安い」「貯蓄型なら貯蓄しながら保険に入れる」「葬儀代のために」「保険は社会人としての責任」など様々な営業トークを使ってきます。
ですが、貯蓄したいのなら普通に貯金した方が使い勝手が良いですし、増やしたいなら投資をすれば良いのです。
「葬儀代のために」と保険に入る方もいらっしゃいますが、新社会人が毎月保険料を払って備えるほど、葬儀の優先順位って高いのでしょうか。
お通夜や告別式を行わない直葬であれば、10万円もかからないプランもあります。
何百万円もする最高ランクの葬儀をするために、わざわざ保険に入る必要はないと私は考えます。
「社会人としての責任」など抽象的な言葉を言われる場合もありますが、経済的に支えている家族の有無で要不要を考えると良いでしょう。
医療保険が不要な理由

重要なので何度でも言いますが、保険に入っていて安心なのはお金の面だけの話です。
医療保険に入っているからと言って、病気になりにくい訳でも、病気が早く治るわけではありません。
つまり、最低限の貯金があれば、医療保険は不要です。
そのように言える理由は、以下の4点で説明します。
- 高額療養費制度の存在
- 傷病手当金の存在
- 20〜24歳の600人に1人しか入院しない
- 20〜24歳の入院日数は平均11.7日
順を追って説明しますね。
高額療養費制度の存在
高額療養費制度とは、医療費の家計負担が重くならないよう、医療費が1か月で上限額を超えた場合、超えた額を支給されます。 (※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含ません)
この制度は公的医療保険の保障の1つで、健康保険証を持っていれば誰でも受けられます。
1ヶ月の医療費の上限は年齢や年収によって決まっており、新社会人の場合は年収が770万円以上でない限り、以下のどちらかのパターンになります。
- 57,600円
- 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
つまり、8万円強あれば1ヶ月の医療費を賄えてしまいます。
仮に、ガンになってしまい医療費が100万円を超えたとしても、高額療養費制度を利用すれば実負担は上記の額になります。
傷病手当金の存在
入院となってしまい、会社からの給料が途絶えたとしても、健康保険から傷病手当金の給付を申請することができます。
- 4日以上会社を休んだ場合、給付を受けれる
- 1日当たりの支給額=月収(標準報酬月額)の約2/3
入院したからと言って、お金が全く入ってこなくなる訳ではないのです。
20歳〜24歳の600人に1人しか入院しない
20歳〜24歳の人は10万人当たり1年間で158人が入院しています。(厚生労働省「患者調査」/平成29年)
つまり、入院受療率は約0.15%、1年間で約600人に1人しか、入院するほどの怪我や病気にならないのです。
20歳〜24歳の入院日数は平均11.7日
新社会人の年齢だと、入院したとしても平均入院日数は11.7日です。(厚生労働省「患者調査」/平成29年)
そもそも、20歳〜24歳の長期入院は稀で、短期間の入院が大多数です。
保険に入るより貯金を最優先で行おう

最低限の貯金について
ここまで「最低限の貯金があれば、医療保険は不要」ということを説明しました。
「最低限の貯金」は年収や1ヶ月の支出額によって異なりますが、仮に1ヶ月の支出が15万円だとしたら、目安として50万円貯金できていれば最低限はOKだと考えています。
仮に1ヶ月間入院したとしても、高額療養費制度を利用すれば医療費を最大でも8万円強に抑えられます。
病床数が4庄以下の病室を選ばない限り、差額ベッド代はかかりません。
入院時の食事代は一食460円ですが、入院しなくても食費はかかりますので、食費が大きい負担になりにくいです。
以上から、50万円も貯金があれば、1ヶ月は入院したとしても生活に困窮することはないと考えます。
貯金を最優先で行おう

入社後すぐに50万円なんて貯められないよ。
やはり、保険に入るしか…
いやいや、ちょっと待ってください。
保険に入ってしまうと、月1万円近く保険に支払うことになりますよ。
そのお金を貯金に回して、優先的に50万円を貯めた方が良くないでしょうか?
新社会人の年齢ですと、1年間で約600人に1人しか入院しない上に、入院したとしても平均入院日数は11.7日しかないんですよ?
入院の確率が小さい上に、入院したとしても多額の医療費を請求される訳でもありません。
不安にかられて保険に入り、貯蓄スピードが遅くなったせいで、最低限のお金を貯められないのでは本末転倒です。
それに、一度保険に入ってしまうと、解約するのには労力が必要になるため、ずるずると契約したままになる恐れもあります。
最初から保険には入らず、最低限の貯金を優先する方が合理的です。
新社会人に生命保険と医療保険は不要〜まとめ〜
- 独身に生命保険は不要
- 最低限の貯金があれば医療保険は不要
- 保険に入らず、入社後すぐに最低限の貯金を優先した方が合理的
保険に入らないと不安に感じるのは、保険会社の巧みなマーケティングの賜物です。
日本は公的保険が充実している国ですので、病気やケガをした際は公的保険を利用して、足りない分を貯金で賄うのが合理的です。
いざという時にいくら必要なのかを理解し、必要な分は優先的に貯金していきましょう。