「株価が下落してもなかなか損切りできず、そのまま塩漬け状態になってしまった…」
「株価はいつか上がると信じて、勢いでナンピン買いしてしまった…」

その気持ち、とてもよく分かります!
私も同じように株価下落に上手く対応できず、資産を減らしてしまった経験があります。
しかし
- 損切りできない
- 勢いでナンピン買い
は、人間の意思決定の仕組みを理解すれば、ある意味当然な反応なのです。
意思決定の仕組みを理解すれば、同じ状況になっても前より冷静に対処することができます。
本記事では、私が行ったアンケートと行動経済学の名著「ファスト&スロー」を元に
- 損切りできない理由
- 勢いでナンピン買いしてしまう理由
- 私たちがすべき対策
について考察します。
株価下落でも損切りできない理由

人間の意思決定の仕組みから、2つ理由を挙げられます。
① 損失回避
「確実な損は絶対に嫌なので、それならむしろリスクを取る」
という意思決定の仕方です。
まず、下記のアンケートをご覧ください。
【アンケート①】
あなたはどちらを選びますか?
直感でお答えください🙇♂️
— Lobster🦐FIRE (@musclefund_com) August 12, 2020
- 確実に900円もらえる(利益確定)77.2%
- 90%の確率で1000円もらえる(リスク追求)22.8%
- 期待値はどちらも900円
77.2%の方が
確実にもらえる900円の価値 > 90%の確率で1000円もらえる価値
と考えていることがわかります。
つまり、「リスクを追求して利益を求めるより、利益を確定してしまいたい」と考えている人が多いのです。
- 確実に900円失う(損失確定、損切り)30.3%
- 90%の確率で1000円失う(リスク追求)69.7%
- 期待値はどちらも900円
69.7%の方が
確実に失う900円の負の要素 > 90%の確率で1000円失う負の要素
と考えていることがわかります。
つまり、「損失を確定するより、リスクを追求してでも損失を減らしたい」と考えている人が多いのです。
損切りできない理由は、「確実な損は非常に嫌なので、それならむしろリスクを取る」という損失回避の観点から説明できます。
これは感覚的に理解しやすいですよね。
② 妥当性の錯覚
「根拠のない自信は当てにならない」
と言う意味です。
「これだけ下がったら、今度は上がるだろう」
「今が底値だろう」
「周りが買っているから、大丈夫だろう」
など、根拠のない自信を持っている場合です。
頭の中でつじつまの合う、自分にとって都合の良いストーリーを組み立てているに過ぎないのに、その判断が「妥当」であると錯覚してしまうのです。
- 損失回避(確実な損は絶対に嫌なので、それならむしろリスクを取る)
- 妥当性の錯覚(根拠のない自信は当てにならない)
コロナショック時を振り返ってみると、まさにこの状態でした。。。
勢いでナンピン買いしてしまう理由

損切りできない理由と基本的に同じですが、下落中の株価を「以前の買値と比較して安いと感じている」ことも理由として挙げられます。
平均取得単価は下がるため、心理的にも買い増ししやすいです。
本来、安いかどうか判断する場合、適正価格より「割安かどうか」で判断するべきです。
しかし、以前の買値が参照点となることで、無条件で「安い」と判断してしまいます。
以前の買値との比較だけで判断した場合、投資は途端にギャンブルになってしまいます。
株価下落時のルールを決めておく

「自分の意思では損切りできない」
と考えておくくらいでちょうどいいです。
「損失を認めたくない」
「認めるくらいなら、更なるリスクを取る」
と考えてしまうのは人間の意思決定の仕組み上、避けられないのです。
ならば、あらかじめ損切りラインを決めておくことが妥当と言えます。
「10%下落したら損切り」
「20%下落したら損切り」
など、自分で決めた損切りラインで機械的に売却するのが、損失を拡大させないコツだと思います。
人によってリスク許容度が異なるので、自分はどの程度まで耐えられるのかあらかじめ考えておくのが良いでしょう。
株価下落後にV字回復する可能性もありますが、それを予想してその通りになるなら、皆株で大金持ちです。
「そのうち上がるはず!」と思ったのであれば、自分にとって都合の良いストーリーを組み立てているに過ぎない(妥当性の錯覚)と考えるべきだと思います。
(私自身、損切りラインを決めておらず、ナンピン地獄からの塩漬けになってしまった銘柄がいくつもあります。。。)
まとめ
- 損失回避(確実な損は絶対に嫌なので、それならむしろリスクを取る)
- 妥当性の錯覚(自信は当てにならない)
- 以前の買値が参照点(前買った時より安くて買ってしまう)
- 自分の意思では損切りできないと思っておく
- 損切りラインを決めておく
ネットショッピングのような感覚で株を買えてしまいますが、含み損で売るときはそうもいきません。
意思決定の仕組みを理解して、あらかじめルールを決めておきましょう。
参考にした「ファスト&スロー」では意思決定の仕組みが学べます。
様々な場面で起きる意思決定を解説しているので、読み物として非常に面白いですよ。
以上、終わりです。
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